マウスの血中に抗老化物質 神戸の先端医療センターなどが発見
神戸医療産業都市推進機構の今井真一郎客員上席研究員らのグループはマウスの血液中の酵素が老化を抑える効果をもっていることを発見した。
若いマウスの血液から採った酵素を老齢のマウスに投与し寿命が延びることを実験で確認した。
動物実験の段階だが、人間の認知症など老化に伴う病気の予防につながる可能性があるという。
国立長寿医療研究センターの佐藤亜希子プロジェクトリーダーとの共同研究で、成果を13日付の医学誌「セル・メタボリズム」(オンライン版)に発表した。
哺乳類の様々な臓器や組織で「NAD」と呼ばれる物質が加齢とともに減ることが老化と深く関係することが指摘されている。
研究グループが血中で見つけた酵素(NAMPT)はNADの合成にかかわっていた。
遺伝子組み換えによりこの酵素が減らないようにしたマウスを育てたところ、年をとっても運動機能や記憶が衰えにくく、メスでは普通のマウスに比べて群れの半数が死亡するまでの期間(中間寿命)が約13%延びた。
また若いマウスから採取した酵素を老齢マウスに投与したところ、回し車を動かすなどの活動量が大きく増え、中間寿命が約10%延びたという。
NADと老化の関係はマウスに限らず哺乳類に共通すると考えられている。
今回の成果は人間の老化の仕組みの解明に役立つとともに抗老化作用をもつ薬の開発などにもつながると期待される。
参考・引用一部改変
日経新聞・夕刊 2019.6.14