新型コロナワクチン 子ども2回目接種2割 促進課題

子ども2回目接種2割 促進課題、来月にも3回目 コロナ、新学期を警戒 厚労省

5~11歳の小児を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種が進んでいない。
小児の2回目の接種率は2割程度と低く、促進に課題を残す。
新規の感染者数が高止まりを続けるなか、厚生労働省の専門部会は29日、小児の3回目接種を了承した。
厚労相の正式な承認を経て、9月にも始まる。

了承したのは米国の製薬大手ファイザー製ワクチンの小児を対象とした3回目接種への使用で、同社が6月に申請していた。
海外で承認された医薬品の審査を迅速化する特例承認を適用する。接種間隔は5カ月とする方針だ。

重症患者が増加
小児のワクチン接種は1回目を2月下旬に始めた。
6カ月たった今も、進捗は1回目が19.5%(8月29日公表時点)、2回目が17.9%(同)にとどまる。小学校では夏休みが終わり、新学期の集団感染への警戒は続く。

ワクチン接種が伸び悩む背景には、小児の重症化リスクが高齢者らに比べて低いことがあるとみられる。
厚労省によると、23日時点で把握した全国の重症者552人のうち、10代は3人だった。
10歳未満は9人で全体に占める割合は低い。

一方で、日本小児科学会は新型コロナの流行「第7波」で、重い症状をかかえる子どもの患者が増えていると指摘する。
感染の急拡大を受け、子どもの熱性けいれんや脳症などが相次いでいるという。

保護者の間には新型コロナワクチンへの不安もある。
同学会は懸念の払拭に向け、効果などに関する情報をウェブサイトで発信している。
10日には「5~17歳の健康な小児へのワクチン接種を推奨する」との見解も公表した。従来は「意義がある」との表現にとどめていた。
<コメント>
「保護者の間には新型コロナワクチンへの不安もある」「効果などに関する情報をウェブサイトで発信」なんともチグハグな記事です。
保護者は副作用を気にしているのです。
「費用」対「効果」と同じように「副作用」対「重症化予防」の話なんです。
このパターンはワクチンの話ではしばしばありがちなことです。
要するに論点が噛み合わないのです。
副作用といっても軽微なものから、自然感染より「ひどい」副作用まであります。
保護者は、諸外国のデータでもいいので「接種すれば、これだけ重篤な症状がワクチンにより防げる」という客観的なデータを求めているのです。
そもそも、自然感染で熱性けいれんや脳症を起こしたり死亡した場合、ワクチンを接種していれば回避できたはずという実証は出来っこありません。

「努力義務」課す
政府も小児の接種を推し進める方策を模索している。
厚労省は8月に、保護者への「努力義務」の対象外だった措置を改める方針を決めた。
9月にも政令を改正し、努力義務を課す方向だ。

1~2回目の承認当初はオミクロン型の重症化予防効果のデータが不十分で、努力義務の対象から外していた。
接種券やリーフレットを送付し、接種を促す勧奨の対象だったが、券の送付自体を見送る自治体もあり、周知が進んでいなかった。

夏休みの終了に伴い、小学校での感染が再び増える可能性もある。
厚労省によると、夏休み期間中の8月は新規感染者に占める小児の割合はそれまでより低い。
22日時点で10歳未満が11.8%、10代が11.7%となっている。

夏休みに入る前は、6月に10歳未満が18.6%、10代が15.9%に達していた。
感染が急拡大した7月もそれぞれ13.6%、15.8%だった。
小児の感染や重症者の増加を抑えるには希望する子どもへの接種が急がれる。
<コメント>
「小児の感染や重症者の増加を抑えるには希望する子どもへの接種が急がれる」。
「結局、感染も重症化の増加も抑えることができる」といういささか乱暴な仮説が結論となっています。
もしそのことが真実だとすれば(厚労省の)データを提示し、副作用についても触れないと、「とにかく接種すべき」といった、最初に「結論ありき」の記事ということになります。

日経新聞・朝刊 2022.8.30)