コロナ全数把握見直し 

コロナ全数把握見直し 軽症は詳細報告不要、安全網課題

政府は2022年9月26日、全ての新型コロナウイルス感染者の氏名などを医師が保健所に報告する仕組みを見直した。
今後、詳細な情報収集は重症化リスクの高い高齢者らに絞る。
各地域で「全数把握」の対象から外れる患者でも体調の急変時などに必要な診療を迅速に受けられる安全な体制の整備と運用が重要になる。
コメント;
「保健所に報告する仕組みを見直した」・・・あたかも保健所が主役のような表現です。
保健センターは土・日はほとんど出勤していません。
月曜日に仕事が忙しくなるのは当然です。
当院は、土・日もコロナの診療にあたっています。
しかし、連休前の夜間診療の場合には、コロナ陽性者を診療した場合、診療側が厚労省へのHER-SYS登録を行っても、保健所の患者への対応は連休明け、つまり数日後となります。
そもそもコロナ対策が、保健所主体のシステム構築だったことに問題があったのです。
公務員の限界をつくづく実感します。
「2類感染症 :ただちに届出をお願いします」
新型コロナには現在2類感染症相当となっています。

「2類感染症 :ただちに届出をお願いします」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html
となっています。
保健所が年中無休体制でもないのに「ただちに」という文言が虚しく響きます。
婚姻届が24時間受付もおかしな話ですが、感染症の場合の「ただちに」という表現は変更していただきたいものです。


・簡略化は9月以降、宮城など9県で進んでいる。
今回、全国一律に広げた。

・氏名や住所といった詳しい感染者情報の届け出は
①65歳以上の高齢者
②入院が必要な人
③重症化リスクがあり治療薬や酸素の投与が必要な人
④妊婦
に限る。
症状が軽い若者らの届け出は不要となる。
総数と年代別の患者数は別途集約する。

・保健所に報告する仕組みを見直した保健所に報告する仕組みを見直した詳細な届け出の数は約2割に減る見込みだ。
ファクスで保健所とやりとりする医療機関もあり、手間がかかっていた。
見直しで現場の負荷は軽くなる。

・問題は安全網だ。
加藤勝信厚生労働相は26日の閣議後の記者会見で「自治体と連携を取り、必要があれば運用改善を図りながら対応していきたい」と話した。
見直しで先行した県からは、対象から外れた感染者の体調が悪化した場合に治療や入院調整が迅速にできない恐れがあるといった声も出ているという。

・政府は都道府県に「健康フォローアップセンター」を整備するよう求めている。
低リスクとされる若者らが連絡・登録する窓口となる。
自宅などで療養中に異変が生じた患者らへの初動対応も担う。
医療機関やオンライン診療への引き継ぎも重要な役割となる。

・東京都が26日から受け付けを始めた「陽性者登録センター」は、登録すれば食料品の配達などの療養支援を受けられる。
もともと8月から、自主検査の結果をもとに医師がオンラインで陽性診断する窓口として開いていた。
従来20~40代のみだった対象を今回、64歳以下の軽症者に広げた。
60人体制だった医師や事務スタッフらも100人規模に増やした。
コメント;
東京都自体にしろ東京都医師会主導にしろマンパワーをどのように集めたのでしょうか。
いずれにしろ素晴らしいことです。

・全数届け出の見直しは第7波のピークには間に合わなかった。
全国一律の新たな仕組みが機能するかどうかは今後見込まれる第8波で本格的に試される。
コメント;
「コロナ全数把握見直し」については、当初「各自治体の判断に任せる」ということから始まりました。
自治体が足並みを揃えなければ全国や都道府県別の感染者数や都道府県別の比較が全く意味をなさなくなってしまいます。
こういった発想(愚策)はどのように出されたのでしょうか。

・自宅などでの自己検査が広がると、流行把握の精度が下がる懸念もある。
厚労省は抗原検査キットについては国が一定の性能を認めた正規品を使うよう求めている。
該当するのは「体外診断用医薬品」や「第1類医薬品」だ。
「研究用」と称する検査キットは健康フォローアップセンターの登録には使えない。
コメント;
正規品かどうかはパッケージを見ても判別しにくい状態です。
どちらかがわかりやすいよう正規品に事前にはシールを貼っておくとか、薬局窓口で販売側が説明を明確にするように法的に義務づけることは簡単にできそうです。

・特定の医療機関からの報告をもとに全国の感染状況をつかむ「定点調査」の導入に向けた研究も進める。
季節性のインフルエンザは全国約5000カ所の医療機関を定点としている。
コロナは約4万の発熱外来から報告を受ける体制を築いてきた。
コメント;
ということは、すでにコロナにおいても実質的には定点観測だったということになってしまいます。
新型コロナウイルス感染症は令和3年2月13日施行の感染症法の改正により「指定感染症」から「新型インフルエンザ等感染症」へ変更されました。
「2類相当」では医療機関や保健所には国に患者の全数報告が求められていますが、「5類」になると基幹病院からの定点報告となります。
つまり、「2類相当」から「5類」に格下げされるという動きがあるということです。
https://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20220802b.html

参考・引用一部改変
日経新聞・朝刊 2022.9.27