前立腺がん 治療せず経過を観察する場合

前立腺がん 治療せず経過を観察するのはどんな場合?

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全国がん登録の2018年の統計によれば、日本で前立腺がんと診断された人は年間約9万2000人で、男性が発症するがんの第1位となっている。

ただ、前立腺がんはほかのがんと比べると進行が緩やかで、発見から5年後の生存率は99%以上と、死亡率はそれほど高くない。

とはいえ、前立腺がんのすべての進行が緩やかというわけではなく、2~3割は「足が速い」といわれるケースもある。

しかも、頻尿や残尿感などの尿トラブルが表れる前立腺肥大症とは異なり、前立腺がんは初期に自覚症状があることはまれだ。

前立腺肥大は尿道を取り囲む内腺と呼ばれる部分で発生するため、尿道が圧迫されることでさまざまな尿トラブルが起きる。

それに対し、前立腺がんは主に、尿道から離れた外腺と呼ばれる部分に悪性の腫瘍が発生するため、がんが進行して尿道を圧迫するようになるまで自覚症状が起きにくい。

尿トラブルで受診して前立腺がんが見つかる場合は、すでにがんが進行してしまっているケースも少なくない。

そうなってからでは、がんを根本的に治す「根治的治療」が難しくなることもある。

前立腺がんは50代以降に増える。

そのため、前立腺がんを早期に見つけるための検査である「PSA検査」を、50代以降は定期的に受けることが勧められる。

前立腺がんと診断されても、がんの進行度や悪性度が低い場合には、定期的に検査を受けながら経過を観察する「監視療法」が行われることがある。

実際に監視療法を選択する患者さんは、75歳以上の後期高齢者が多いのが現状だ。

50代、60代といった比較的若い世代では、その後の平均余命は20年以上ありますから、がんを根本的に治して社会復帰することを目標に、治療を進めていくことが多い。

(日経Gooday 30+ 2023.3.25)