女性とオーディオ

女性とオーディオ

オーディオファンには、どうして極端に女性が少ないのだろう? 決していないわけではないが、極めて低率である。僕の年来の疑間のひとつである。雑誌「中央公論」の12月号で、東大名誉教授で慶大教授の石井威望先生と対談したおりにも、これが話題になった。石井教授によると「オーディオはが男性的現象」ということになり、その原因の重要なヒントになる次のような発言があった。

「女性の演奏家は多いが、作曲家はいない・・・」という鋭い指摘である。

たしかに、同じ音楽に関わる世界での現象として、この指摘は興味深いものだと思う。

とはいうものの、文章として書けるほど、僕の考察はその後、進んでいない。下手にこれをやると女性から差別視だと怒られそうだし、もうすで数十年も頭から離れないテーマなのだから簡単に書けるわけがない。

女性のファンが増えればこの世界、もっと楽しくなるのだが・・・。

 

以上

季刊ステレオサウンドNO.101 1992  WINTERに掲載された、当時の「オーディオ界」の重鎮・菅野沖彦氏のエッセイより。(原文のまま)

 

参考 

石井 威望(いしい たけもち)

東京大学に在学中、ノーバート・ウィーナーの『サイバネティックス』を読んで、医学から工学に転じた。その後、システム工学、管理工学、応用工学から人工臓器、都市交通システムまで幅広い分野で活躍したが、専門はシステム工学・マルチメディアである。独創的なロボット社会論や未来社会論を展開し、テクノポリス(高度技術集積都市)構想を推進する。

Wikiより)