インフルエンザの際の抗ウイルス薬以外の治療薬

インフルエンザの際の抗ウイルス薬以外の治療薬

1)麻黄湯

漢方薬麻黄湯はインフルエンザの初期に保険適用がある。

発熱や症状の改善に有効とされるが、抗ウイルス作用については確かな評価は得られていない。小児において有用であったという臨床医の意見は多い。

作用機序としてサイトカイン調節作用による可能性が考えられている。

 

2)解熱薬

インフルエンザに伴う発熱に対しては、安全性の高いアセトアミノフェンが推奨

される。(代表的一般名;カロナール

15歳未満のインフルエンザ患者では、アスピリンなどのサリチル酸系解熱鎮痛薬、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸などの解熱薬は投与しないことになっている。

(コメント;インフルエンザ脳症発症との関連も疑われている)

解熱薬は症状の緩和に有用とされるが、症状消失を促進している確かなエビデンスは得られていない。

(コメント;症状の「緩和」と症状「消失」。少なくとも「緩和」すればいいのではないかと考えます。なお、理論上から解熱剤の使用により免疫力が落ちて、かえって治癒が長引くともいわれていますが、最近の論文では、この考えは否定的です)

 

3)抗菌薬について

インフルエンザでは細菌感染の合併がなければ、抗菌薬の投与は特に不要である。しかし,血清アルブミン値が低下しているような高齢者などでは肺炎の合併が危惧され、早い段階での抗菌薬の使用が考慮される。

(コメント;血清アルブミン値と肺炎の合併についての論文があるのかどうか、少なくとも勉強不足の私にはわかりません)

日常臨床において抗インフルエンザ薬により熱が下がっても咳、喀痰、鼻汁などがしばしば長く続くことがあるが、クラリスロマイシン(CAM)が咳などの症状改善に有効で

あった成績が得られている。CAMには炎症制御作用(抗サイトカイン効果)や、粘膜免疫増強作用、直接的な抗ウイルス効果なども報告されており、それらが症状改善に寄与していると考えられている。

(コメント;この理論でいけば、細菌感染の合併(二次感染)がなくても高齢者や重症例ではCAM投与を考えてもいいのかもしれません)

引用・一部改変

「インフルエンザ COVID-19 診療マニュアル」

2024-2025シーズン版 日本臨床内科医会インフルエンザ研究班