忙中考えた「保健センター」のこと

結構忙しい日曜日が終わった。午前8時から9時まで新型コロナワクチン接種。

引き続き9時から10時30分までは通常の日曜診療。

11時から午後0時30分までワクチン接種。

再度午後2時から4時まで再度ワクチン接種といった具合だ。

ワクチンは溶解後6時間以内に使用しなければいけないので、接種の合間に注射器に詰める作業が加わる。午前中の日曜診療には高熱の患者さんも来院される。

時節柄、本人自身も新型コロナの検査を希望され、当方も必要と考えることから必然的に検査をすることになる。

問題は陽性だった場合だ。

玄関先には急ごしらえの「発熱コーナー」を設置しているが、順番待ちの患者さんが医院前の駐車場で待っている。

当然のことながら乗車したまま検査する場合もあり、院内外を動き回ることとなる。

今日はワクチン接種のため来院した患者さんと時間的にカブってしまい、駐車場もパンク状態。

そんな中、受付事務から「ご夫婦で高熱を出し、ご主人は咳と息苦しさが強くパルスオキシメーターで90%。診察していただけないでしょうかと」という伝言。

「その人、保健センターに連絡したの?」と訊くと「日曜日に診療している開業医に診察してもらいなさい」といわれたとのこと。

この状態は完全に開業医が外来で診察するケースではない。

おそらく新型コロナ感染だし、無駄に時間がかかってしまう。

「病院へ直接行った方がいいのでは」と事務に言うと、保健センターは「直接病院に行っても診察してもらえないから、まずは開業医に診察してもらって紹介状を書いてもらうように」と返事されたという。

こちらも辛い決断だったが「申し訳ないが、一般診療所で診察するレベルの状態ではないのでもう一度保健センターに連絡してもらってください」と事務に返事。

その後、電話はかかって来なかった。

どうなったんだろう。

いずれにしろ、ほろ苦い経験をしてしまったとともに、ほかの方法はなかったんだろうかと考えさせられた。

 

診療が終わったころ、市内で勤務医をしている娘が来訪したので、その件を話した。

「今なら私の病院は、そんな患者さん受け入れてるよ」とのたまった。

保健センターは、こういった情報は共有できているのだろうか。

少なくとも、当院のような「感染症 診療・検査医療機関」でさえ、保健センターが把握している諸状況はまったく知らせれないし、陽性患者の報告をした時点で診療医の手を完全に離れてしまう不思議な状況となっている。

                             (2021.9.12夜 記)