オミクロン対応ワクチン、第8波に備え政府は接種間隔短縮も検討
(2022年9月)20日に始まった新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの接種。
季節性インフルエンザとの同時流行も想定される中、今後の「第8波」への対策として、政府は接種を急ぐ考えだ。
ただ、どれほど接種率が上がるかは見通せていない。
オミクロン株に対応したワクチンの接種は当初、10月中旬の開始予定だったが、ワクチンの供給や自治体の準備のめどが立ち、政府は開始時期を早めた。
政府が意識するのは、冬場の感染拡大だ。
過去2年間は、いずれも年末年始に大きな流行があった。
加えてこの冬には、過去2年間は大きな流行がなかったインフルエンザとの同時流行も懸念される。先行してインフルのシーズンを迎えた南半球では、インフルの流行がみられた。
接種間隔は短縮を検討、年末年始に備え
まずは、重症化のリスクが高い高齢者らへの接種をスムーズに進めることが重要になる。
政府の次の焦点は、接種間隔の短縮だ。
前回接種してから次の接種をするまでの接種間隔は現在5カ月だが、欧米では2~3カ月となっている。
60歳以上の人への従来のワクチンを使った4回目接種は、7月に1221万回、8月に1267万回、9月前半に307万回で、ピークを越えた。
ただ、接種間隔が5カ月のままだと、多くの高齢者は、今回のワクチンを使った5回目の接種は12月~来年2月となる。
そうなると、年末年始に大きな流行があった場合に間に合わなくなるおそれがある。
接種間隔が3ヵ月になれば年内に多くの高齢者が接種できる計算になる。
厚労省は短縮する方向で検討していて、10月下旬までに結論を出す考えだ。
高齢者の大半はすでに4回目接種を終えており、オミクロン株ワクチンの接種が本格化するの接種間隔の短縮も見込むと、11月以降とみられる。
一方、接種体制を整えても、若者を中心に接種が進むかは不透明だ。
政府は10月下旬から職域接種も始める方向で、防衛省が運営する自衛隊の大接種会場も引き続き設けるが、需要は見通せない。
3回目の接種率は、20〜30代は50%台にとどまる。
全年代を通しても65.2%と1〜2回目に比べ低調だ。
朝日新聞・朝刊 2022.9.21
「まとめ」および「追記」
・5回目接種対象者
先行接種開始 9月21日より
全員接種開始 10月中旬以降
(5ヶ月間隔を3ヶ月間隔に短縮すれば接種者のピークが来年1月から今年の11月に 短縮)
・「この冬には、過去2年間は大きな流行がなかったインフルエンザとの同時流行も懸念される」
コメント;
この記事では、南半球が流行した半年後に北半球でも同規模の流行が起こる従来からの確率が明らかにされていません。
・「重症化が懸念される高齢者では、オミクロン株ワクチンの接種が本格化するのは接種間隔の短縮がされた場合には、11月以降となる。少なくとも年内に多くの高齢者が接種できる」
コメント;
「今年はインフルエンザワクチンとの同時接種が多くなると思われるが、インフルエンザワクチンは、遅くとも12月中旬までには接種しておきたい」
同時接種でない場合には、コロナワクチンと(インフルエンザワクチンを含む)他のワクチンとは2週間以上の間隔をあける必要がある。
・現在行われている「4回目接種」は、もともと60歳以上の高齢者の重症化・死亡を防ぐために行われました。
60歳未満では重症化・死亡が少ないこと、そして接種後の高熱や心筋炎などの副反応が(60歳以上と比較して)多いことから間違っていない方針と思われます。
ワクチン接種の要否を論ずる場合に大切なのは、有効性と副作用の両面を、(費用対効果と同じように)天秤にかけて考えることです。
概して、60歳以上では前者、60歳未満では後者が大きいことがわかっています。
また、有効性の有無を話す場合には、感染予防効果と重症化予防効果のどちらなのか、はたまた両方なのか、が必要です。
・「4回目接種の接種券が届いている場合、現時点(2022年9月下旬)で4回目接種を従来ワクチンで接種することは得策かどうか」「いま流行の主流となっている『BA.5』に対応したワクチンも今後、国内で使えるようになる可能性がある。それまで接種を待ったほうがいいのか」・・・これは多くの方が知りたいところです。
「厚労省は10月下旬までに結論を出す」のでは遅すぎです。
・「従来株」、「BA.1対応の2価ワクチン」、(年内にも入荷する予定の)「BA.5対応の2価ワクチン」の有効性と副反応の比較が公表されていればいいのですが、もし未公表であるとすれば迷うこと自体が意味のないことになってしまいます。
・「60歳未満で持病のある18歳以上の人」の場合、いままでの「接種届け済み票」の記載内容から、接種券が自動的に届くのか、本人が申請する必要があるのか?そのあたりの線引きもはっきりしなくて現場は混乱しています。
・オミクロン株は、これまでの感染や従来のワクチン接種でできた抗体をすり抜けやすいとされている(免疫回避)。そして接種後に効果が続く期間が、これまでよりも短くなっていることがわかってきました。